不動産売却でインスペクションはするべき?メリットや手続きの流れ|不動産の価値×売却コンテンツ

不動産売却でインスペクションはするべき?メリットや手続きの流れ

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2024.02.09

不動産売却でインスペクションはするべき?メリットや手続きの流れ|不動産の価値×売却コンテンツ
出典:写真AC

不動産売却時にインスペクションをすれば中古住宅の状態を隅々まで調査・診断できるため、現在どれくらいの資産価値があるのかを明確に把握できます。買主にとってインスペクションの調査結果は不動産価値を知るための判断基準となるため、調査済みの物件を優先して探している方も少なくありません。

また売主としてもインスペクションを実施していれば、不動産売買時のトラブルの発生を防ぎ安心して取引できるため、大切な住宅診断の仕組みとなっています。今回は、不動産売却時にインスペクションは実施するべきなのか、メリットや基本的な手続きの流れについてわかりやすく解説していきます。

目次

インスペクションとは?

インスペクションには「点検」や「調査」という意味があり、一般的には不動産の売却前に実施する不動産調査を意味しています。インスペクションでは専門家が建物の欠陥や劣化状況を調べ、修繕工事の必要性や費用についてアドバイスが行われます。

インスペクションの住宅診断は、誰でもできるわけではありません。実施できるのは国土交通省が定めている講習を受講した既存住宅状況調査技術者である建築士や住宅診断士の民間資格を取得した専門家に限られます。

インスペクションとは?
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インスペクションの実施目的

インスペクションでは、建物の構造や外観、内部、設備など、あらゆる箇所を専門家が調査します。これにより、建物の劣化状況や欠陥の有無、修繕や改修が必要な箇所や時期、費用の目安などを把握できます。

そのため、インスペクションは売主と買主が中古住宅を安心して売買するために、非常に重要な役割を有しています。もし、建物に欠陥のある中古住宅にインスペクションを実施せずに売却してしまうと、売った後に買主とトラブルになってしまう可能性が高くなります。

中古住宅の売買前にインスペクションを実施することで専門家による正確な診断のもと建物の状態を明確にしてから売買できるため、トラブルの発生を未然に防ぐことができます。また、売主は売買価格を相場に合わせて適正に設定できるため、双方にとって納得のいく取引につながりやすくなります。

基本的な検査項目

不動産のインスペクションでは、内壁や外壁、排水管、給水管などを目視で調査します。一般的な検査時間は戸建てなら3時間~4時間、マンションなら2時間が目安です。インスペクションの基本的な検査項目は依頼先の会社によって異なりますが、主に下記の部分を検査していきます。

建物の種別 構造耐力上で中心となる部分 雨水を防止する部分
戸建て 柱や梁、小屋組、床、土台、床組など 壁や床、外壁、屋根、開口部、天井など
マンション 基礎や壁、基礎杭、床など 壁や屋根、開口部、排水管など

これらの基本的な検査項目は、国土交通省が定めた「既存住宅インスペクション・ガイドライン」に基づいています。ただし、検査会社によっては基本料金とは異なるオプション料金で追加で検査項目を設けている場合もあります。

民法改正で高まる売主への責任

2018年4月に宅地建物取引業法が法改正されたことで不動産売買において不動産会社がインスペクションに関する説明や調査結果の報告が義務化されました。その結果、インスペクションへの注目は以前にも増して高まっていますが、インスペクションの実施については義務化されていません。

また、2020年4月の民法改正によって、瑕疵担保責任から契約不適合責任へと不動産売買に関する規定が変更されました。瑕疵担保責任とは、土地や建物の不具合や欠陥に気づくことなく売却してしまった場合、売主がその責任を負うという仕組みのことです。

新法の「契約不適合責任」では、買主が不動産に欠陥があることを把握していても、契約書にその事実が記載されていなければ、その責任を売主が負う可能性がある、となっています。そのため、以前よりも売主への責任が重たくなっています。

不動産売却時にインスペクションを実施するメリット

不動産売却時にインスペクションを実施すると、主に次の3つのメリットがあります。

不動産売却時にインスペクションを実施するメリット
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買主の疑問や不安をなくせる

買主が不動産を購入する際は、物件の状態について漠然とした不安があるため、事前に売主がインスペクションを実施し、調査結果を提示することで買主の不安を取り除くことができます。インスペクションは物件の状態や修繕が必要な点について透明性を提供し、買主との信頼関係を築くのに役立ちます。

売却後のトラブルを防止できる

不動産売却において売主は、買主に対して「契約不適合責任」という大きな責任を負っています。そのため、売買契約に定められた状態と実際の状態が異なる場合は、売主が損害賠償のリスクを負うことになります。

何も問題を抱えていないように見える不動産でも、詳しく調査を実施してみると非常に重大な問題を抱えていることがあります。たとえば、雨風の影響を受けやすい屋根は雨漏りが起きやすく、トラブルにつながりやすい場所のひとつです。インスペクションで雨漏りに関する建物状況調査を実施することで、事前に欠陥や不具合を把握できるため、調査報告書を通して詳しい状況について買主に伝えることができます。物件の状態について詳しく説明したうえで売買契約を交わすため、不動産の引き渡し後にトラブルに発展する可能性を抑えられるのはもちろん、契約不適合責任を負うリスクも軽減できます。

適正価格で売却しやすくなる

インスペクションによって物件の状態や資産価値が明らかになれば、買主に対して適正な価格で売却しやすくなります。インスペクション実施済みの不動産はトラブルの発生リスクが低い物件として、未実施のものと差別化が図れるため買主が見つかりやすいです。もし、物件の状態が良好なら価格交渉の余地を広げることもできるでしょう。

また、修繕が必要な箇所がある場合は、その費用を売却価格に加算しておくことで買主の将来的な負担を軽減することもできます。このように、不動産売却時にインスペクションを実施することで、売主と買主の双方にメリットがあります。

インスペクション依頼時の注意点

インスペクションを依頼する際は、次の点に注意しておくと手続きを進めやすくなります。

インスペクション依頼時の注意点
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住宅の設計図や間取り図を準備しておく

不動産のインスペクションを依頼する際は、事前に次の書類を準備しておきましょう。

  • 設計図や配線図
  • 住宅の間取り図
  • 地盤調査報告書

これら資料があれば、インスペクション実施時に不動産の欠陥や劣化を発見しやすくなります。設計図や配線図、間取り図などは、住宅建築時や契約時の受け取り資料に含まれています。もし、見つからない場合は法務局で取得できる登記事項証明書で調べることも可能です。

地盤調査報告書とは、住宅工事の着工前に実施された地盤調査の結果を記録する書面のことです。なくしてしまった場合は、調査担当者に対して「報告書をください」と伝えれば、いつでも提供してもらえます。

ただし、これらの書類がそろわなければインスペクションができないというわけではありません。どこを探しても見つからない場合は、インスペクションの依頼先の会社に取りそろえた方が良いのか相談してみましょう。

利害関係のある会社を選ばない

インスペクションを依頼する際は、調査の中立性が高い会社を慎重に選びましょう。会社によっては、提携関係にある特定の会社から紹介料を受けとっていたり、提携会社にとって有利な診断結果を提示する会社も存在します。そのため、利害関係のあるインスペクション会社を選ばないように注意しましょう。

インスペクションの依頼先を探す際は、次のポイントを意識しつつ複数の会社に相談することで、中立性の高い信頼できる会社をを見つけやすくなります。

  • インスペクション会社として仕事実績が豊富にある
  • 建築士の資格を有している
  • 住宅の設計経験や工事監理の経験がある
  • 調査報告書の参考資料を提示してくれる
  • 相場に合わせた価格設定になっている
  • お問い合わせに対して対応が丁寧

積極的にコミュニケーションを交わす

インスペクションでは、目視以外にも依頼者との会話を通して情報を集めています。そのため、インスペクションを実施するときは、インスペクター(調査員)に調査のすべてを任せてしまうのではなく、積極的にコミュニケーションを交わしながら仕事を進めてもらいましょう。

少しでも調査に役立ちそうな情報があれば、積極的に伝えることで正確な判断がしやすくなります。また、積極的にコミュニケーションを交わすことでインスペクターと信頼関係を築きやすくなるため、依頼目的に合った納得のいく調査をしてもらいやすくなります。

インスペクションの費用の目安

不動産のインスペクションの費用は、大きく次の2つに分かれています。

  • 基本料金+オプション費用(約5万円+約10万円)
  • 一律料金(10万~15万円)

それぞれ費用の目安についてご説明します。

インスペクションの費用の目安
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基本料金+オプション費用(約5万円+約10万円)

インスペクションを実施している多くの会社では、基本項目の調査費用を5万円前後としているケースが多い印象です。

必要最低限で少しでも安く済ませたいという場合は、基本項目の調査だけで良いでしょう。しかし、より詳しい調査を希望する場合はオプション調査の実施が必要になるため、基本料金とオプション費用を合わせて15万前後が費用の目安となります。インスペクションのオプション調査には、次のようなものがあります。

  • 専門機械を使った屋根の調査
  • 小屋裏調査
  • 床下調査
  • 鉄筋探査機を使った基礎調査
  • 設備機器の調査

これらのオプション調査以外にも、詳細な調査報告書の作成を希望する場合は別途費用が発生することがあります。また、簡易報告を無料で実施し、追加での写真撮影や将来的なメンテナンスについてのアドバイスを有料オプションとしている会社もあります。

一律料金(10万~15万円)

決して多くはありませんが、インスペクションの調査項目のすべてを一律料金として設定している会社もあります。一律料金となっている場合は、10万~15万円が費用の目安となることが多い印象です。

一律料金の場合は、調査費用の見通しが立てやすいため安心して仕事を依頼できます。一方で、どのような調査を実施するのか自分で決めたい方や調査項目にこだわりがある方にとっては、少し物足りなさを感じるかもしれません。

しかし、一律料金ならインスペクションに関する予備知識がなくても基本的な調査をすべてプロに任せられるため、調査項目を自分で考えるのは大変だと思う多くの方にとって便利なサービスといえます。

インスペクションの基本的な手続きの流れ

インスペクションの依頼先は不動産会社に紹介してもらうか、自分で探すことが一般的です。次に、インスペクションの基本的な手続きの流れについてご説明します。

  • ステップ1:インスペクション会社へ見積もりを依頼する
  • ステップ2:見積もりの内容について具体的な調査内容に関する説明を受ける
  • ステップ3:売主とインスペクション会社と不動産仲介業者で日程を調整する
  • ステップ4:必要書類を準備・発送する
  • ステップ5:待ち合わせ場所と日時を確認する
  • ステップ6:インスペクションを実施する
  • ステップ7:インスペクション会社より調査報告書を受け取る
  • ステップ8:代金を支払う

不動産会社に相談すればインスペクション会社を紹介してくれますが、紹介に対応していないケースもあります。不動産売却に向けてインスペクションを実施したい場合は、紹介に対応している不動産会社に査定依頼をしましょう。

インスペクションの基本的な手続きの流れ
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【まとめ】インスペクションを利用して不動産を高値で売却しよう

不動産売却前のインスペクションは、想定外のトラブルを未然に防ぐ有効な対策のひとつです。不動産売却後のトラブル防止はもちろん、適正価格での売却を実現できるため、売主と買主の双方にとって魅力的な仕組みとなっています。

もし、インスペクションについて不明点がある場合は、不動産会社に質問してみましょう。信頼できる不動産会社ならあなたの要望にとってベストなインスペクション会社を紹介してくれます。

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【まとめ】インスペクションを利用して不動産を高値で売却しよう

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この記事を書いた人

グーホーム編集部

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これからの不動産の価値を伝えるため、沖縄を駆け回るグーホーム編集部。
不動産の専門家や沖縄に精通する皆様に支えられ、執筆を楽しんで行っています。
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