不動産鑑定とは?不動産査定との違いや鑑定費用について|不動産の価値×売却コンテンツ

不動産鑑定とは?不動産査定との違いや鑑定費用について

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2024.03.15

不動産鑑定とは?不動産査定との違いや鑑定費用について|不動産の価値×売却コンテンツ
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不動産業界にいるとお客様から「不動産鑑定と不動産査定では何が違うのですか?」といった質問を受けることがあります。どちらも不動産の価格を調べるという点では同じですが、依頼の目的や費用に大きな違いがあります。

今回は、不動産鑑定とはいったいどのようなものなのか、不動産査定との違いや鑑定評価が役立つケース、基本的な手続きの流れについてわかりやすく解説していきます。

目次

不動産鑑定と不動産査定の違い

不動産鑑定士の鑑定と不動産会社の査定では、いったい何が異なるのでしょうか。両者の違いは、だれが評価するかという点だけではありません。価格に対する意味合いも大きく違います。まずは、不動産鑑定とは何かについてご説明します。

不動産鑑定と不動産査定の違い
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不動産鑑定とは?

不動産鑑定とは、不動産鑑定士が不動産鑑定評価基準に基づいて、土地や建物などの不動産の価値を判定し、その結果を価額に表示することをいいます。また、不動産鑑定は国家資格である不動産鑑定士の資格を有している者に限られる独占業務となります。

不動産鑑定士は鑑定を終えると鑑定評価書を依頼者に渡します。不動産鑑定評価書は、鑑定評価基準に基づいて厳格に価格算定が行われているため、公的な信用力があります。そして、不動産鑑定評価書に記載された鑑定評価額は売主の個別の主観的な事情がすべて排除されており、不動産の経済的な価値に限定して客観的に算出されるため、公的機関の手続きに使えます。

不動産査定との違い

不動産査定とは、不動産売却時に売主から依頼を受けて不動産会社が建物や土地の価値を見積もることをいいます。不動産会社が売主に対して提示する価格は、査定価格と呼ばれています。査定価格とは、売主の個別の事情も考慮しておおよそ3ヵ月で売却できそうな価格のことです。

不動産会社が独自の方法で価値を見積もるため、不動産鑑定と比べて公的な信用力がありません。よって、税務署や裁判所などでの公的手続きには利用できません。どれくらいの価格で売れそうなのか、売主が売却額を知るために利用するのが不動産査定と覚えておきましょう。

不動産査定で提示される査定価格は、独自の評価基準に基づいて評価した売り出し価格を決める参考評価額となります。どうしても査定依頼先の不動産会社によって参考評価額に差が出てくるため、正しい相場観を知るためにも信頼できる複数の不動産会社に査定を依頼することをおすすめします。

不動産鑑定が利用される3つのケース

不動産鑑定を検討されている方の中には、本当に依頼するべきなのか迷われている方もいるでしょう。次に、不動産鑑定が利用される代表的な3つのケースをご紹介します。

不動産鑑定が利用される3つのケース
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個人間での不動産売買

姉妹や兄弟、親子など、親族間(個人間)で不動産売買をする際は、不動産鑑定が利用されるケースが多いです。親族同士という理由で市場価格よりも極端に低い価格で不動産取引を行うと税務署から贈与とみなされて贈与税の対象となってしまう可能性があるからです。

また、個人間で市場価格よりも高い金額で不動産取引した場合でも、「不当な金額を支払わされた。お金を返して欲しい。」といったトラブルが起きる可能性もあります。不動産鑑定で不動産の適正価格を算出することで、これらのトラブルを回避できます。

相続財産の整理

遺産分割では相続権を有する者に資産を公平に分けるため、調停が必要になることがあります。調停とは、裁判所や民間団体によって設置された調停委員会が当事者双方の合意によって紛争や問題の解決を図る手段であり手続きのことです。

調停は裁判とは異なり勝ち負けを決めるのではなく、調停官や仲裁人などの中立的な第三者が関与し、当事者双方が納得できる解決を目指します。その際、不動産鑑定評価書があると相続対象となる不動産の価値を公平に把握しやすくなります。

また、所有している土地が近隣の標準的な大きさの宅地用地と比べて非常に広いと認められる場合、不動産鑑定評価書の内容に基づいて固定資産税評価を算出することで大きな節税効果が期待できることがあります。

離婚による財産分与

双方の話し合いによって離婚が決まり協議離婚を行っている場合、財産分与の手続きを進める必要があります。財産分与では、自宅の価格で揉めてしまうことが非常に多いです。この時、妻と夫の双方が自分で決めた不動産会社に査定を依頼します。その結果、それぞれの不動産会社が算出した査定価格に開きが発生します。

こうなってしまうと不動産価格の折り合いがつかず話し合いが進まなくなり、調停が長引いてしまうことがあります。調停が長引くと多くの時間を奪われ、状況によっては会社を休んで対応することになります。

このようなリスクの回避に役立つのが不動産鑑定士が作成してくれる不動産鑑定評価書です。不動産鑑定士が財産分与の適正価格を算出することで不動産価格の折り合いがつけやすくなります。

不動産鑑定の鑑定評価書が役立つ4つのケース

不動産鑑定の鑑定評価書は、主に次の4つのケースで役立ちます。

不動産鑑定の鑑定評価書が役立つ4つのケース
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相続税の節約

相続税を計算するには、すべての所有財産を金額に直す必要があります。所有財産である不動産を評価・計算する場合、相続税路線価を基にして不動産評価を行います。通常、土地の売買は個人や企業の判断によって値段がつきます。しかし、税金を計算する場合は公平な基準が必要となるため、国税庁が定めている「相続税路線価」が使われます。

状況によって相続税路線価の路線価評価額は、時価よりも高くなったり、不動産鑑定評価書を取得した方が相続税が安くなることがあります。実際に不動産鑑定評価書を取得した方が有効なのかについては事前相談のうえで判断することをおすすめします。

公平な財産分与

遺産相続の際、不動産鑑定の鑑定評価書を取得しておけば、所有している不動産の価値を正確に把握した状態で資産配分を公平に決定できます。不動産鑑定評価書は、公的な信用力を有しているため将来的なトラブルの防止にも役立ちます。

贈与税対策

不動産を市場価格よりも極端に安い金額で売却してしまうと贈与とみなされ、贈与税の対象となることがあります。親族間売買や知人間での個人売買の場合、不動産会社に仲介を依頼しないこともありますが、不動産鑑定評価書を取得していれば適正な取引価格について明確に把握できるため、贈与税対策に非常に役立ちます。

相場が不明の不動産売買

今ひとつ相場がわからない不動産を売却する場合は、不動産鑑定評価書があると相場の把握に非常に役立ちます。不動産鑑定評価書に記載された金額に基づいて交渉するため、「相場よりも安すぎる金額で売却してしまった」や「相場よりも高すぎる取引だった」といったトラブルの原因が生じる可能性が非常に低くなります。

不動産鑑定の基本的な手続きと流れ

次に不動産鑑定士から不動産鑑定評価書を受け取るまでの基本的な手続きと流れについてご説明します。

不動産鑑定の基本的な手続きと流れ
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ステップ1:不動産鑑定士を探す

不動産鑑定を行うには、まず信頼できる不動産鑑定士を見つける必要があります。不動産鑑定を依頼する際は、次の2つのポイントをしっかりとおさえましょう。

  • 依頼内容に対して実績や経験が豊富にあること
  • 複数の不動産鑑定事務所に見積もりを依頼すること

不動産鑑定士といっても、それぞれ得意分野があります。一般的な戸建住宅やマンション、アパート、商業ビルなら、ある程度の実務経験がある不動産鑑定士であれば鑑定技術に大きな差はありません。

一方で農地や林地、山、工場、老人ホームといった取引事例が少ない不動産の鑑定になると、知識や技術の差がはっきりと表れます。そのため、依頼内容に対して実績や経験が豊富にあることが重要なポイントとなります。

また、不動産鑑定は依頼先の不動産鑑定士によって鑑定費用や調査方法に違いがあります。たとえば、不動産鑑定事務所の規模が大きければ必要となる人件費が増えるため、それだけ鑑定費用が高くなる傾向があります。また、不動産鑑定事務所によって調査方法が異なるため鑑定費用に違いが生じます。

そのため、1つの不動産鑑定事務所で決めてしまうのではなく、複数の事務所に見積もりを依頼して内容を見比べてみましょう。多くの不動産鑑定事務所では、初回相談や見積もりを無料としています。

ステップ2:不動産鑑定士に鑑定を依頼する

不動産鑑定士に仕事を依頼する際は、次の項目を見比べましょう。

  • 不動産鑑定評価書の受け取り納期
  • 費用

これらの内容について納得できる場合は、仕事の相談をしてみても良いでしょう。不動産鑑定を依頼する際は登記簿謄本や所有する不動産権利証、建物図面などの書類が必要となります。

また、必要書類の提出以外にも、不動産鑑定評価書の受け取り方や利害関係者の有無についても確認が行われます。そのため、どのような書類の準備が必要なのか、事前に確認しておくと良いことは何かについて、不動産鑑定事務所に相談しておくと効率良く手続きを進められます。

ステップ3:書類調査・実地調査を行う

不動産鑑定が始まると書類調査と実地調査が行われます。書類調査では、法務局や市役所などの官公庁で調査対象となっている不動産の資料を集めていきます。たとえば、市役所では建築許可や開発許可の照明や都市計画、埋蔵文化財の調査が行われます。そして、法務局では公図や謄本、地積測量図などの書類を集めます。

実地調査では、不動産鑑定士が現地訪問し、建物や土地、水道、電気などの状態を詳しく調べていきます。近所との境界や接道、インフラの状況について、役所資料や図面と見比べながら実態について調査するだけでなく、調査対象となる不動産の周辺施設や環境、抜け道、交通量なども調べます。

ステップ4:評価額を算出する

不動産鑑定士は、不動産分析・評価の専門家として試算価格を算出していきます。試算価格とは、不動産鑑定士が鑑定評価額の決定に至る前の段階で算出した価格のことです。不動産価格を算出する鑑定評価には、主に次の3つの方法があります。

原価法

原価法とは、不動産の再調達にどの程度の費用が必要なのか、原価に着目する計算方法です。たとえば建物の場合、同条件で建築する際の費用を調べ、新築後の経過年数による価値低下分を減額し、対象物件の資産価値を推定していきます。この方法は、原価修正や再調達原価の把握が可能な物件には有効ですが、再調達価格の把握が難しい既成市街地には不向きです。

取引事例比較法

取引事例比較法とは、不動産市場ではどの程度の価格で取引が行われているか取引事例に着目する計算方法です。この方法では、数多くの取引事例を収集・選定し、個別的要因を補正して地域格差などを比較して価格を算出していきます。取引事例比較法によって算出された価格は、比準価格と呼ばれます。

収益還元法

収益還元法とは、不動産の運用によって得られる利益に着目する計算方法です。この方法は、賃貸用不動産やそれら以外の事業用の不動産価格の算出に有効です。過去の運用履歴や信頼できる資料をもとにして算出するため、原価法や取引事例比較法と比べて合理性が高いことが特徴です。

これらの3つの計算方法を利用することで試算価格は算出されます。試算価格が算出されるまでには、多くの人の判断が介在するため、最終的な不動産の鑑定評価額を決定するには調整作業が必要となります。

この過程では幾度となく分析と検証が行われますが、不動産鑑定士としての知識や技術力が最も問われる重要な部分となります。

ステップ5:鑑定評価書を作成する

不動産鑑定士は調査結果をもとにして不動産評価額を算出した後、不動産鑑定評価書を作成します。不動産鑑定評価書の受け取りに要する期間は、戸建や土地、ビルなどの一般的な不動産なら1ヵ月程度が目安となります。一方で、調査対象となる不動産が非常に大きい場合や権利関係が複雑になってしまっている場合は、1か月以上の期間がかかると見ておきましょう。

不動産鑑定評価書の受け取りに必要な期間は、不動産鑑定事務所の運営方針や依頼する不動産の内容によって異なるため、見積の時点で納期日数をしっかりと確認しておきましょう。

不動産鑑定に必要な費用の目安

不動産鑑定は、不動産会社が実施する査定と違って、一定の費用が発生します。不動産鑑定に必要な費用の目安は土地・建物なら20万~30万円程度です。ただし、不動産の規模や種類、案件としての難易度によっては、これ以上に鑑定費用が高くなることがあります。

不動産鑑定事務所によっては依頼料金の目安をホームページ上で公開していることもあるため、詳細が気になる場合はチェックしてみましょう。

不動産鑑定に必要な費用の目安
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【まとめ】状況に応じて不動産鑑定と不動産査定を使い分けよう

不動産鑑定士は多様な観点から対象となる不動産について調査や分析を行い、正確な不動産価格を算出します。離婚や遺産相続での財産分与では、不動産の適正評価が必要となるため、信頼できる不動産鑑定士を探して仕事を依頼することをおすすめします。また、不動産鑑定による鑑定評価書は調停や裁判でも利用できる証拠能力を有するものであるため、取得に一定の費用が必要であることは覚えておきましょう。

一方で、不動産会社が実施している不動産査定は無料ですので、公的信用や証拠能力が必要ない場合は不動産査定の利用をおすすめします。もし、相談先となる不動産会社をお探しならグーホームの一括査定を利用しませんか。オペレーターが売主の要望に合わせて取引実績の豊富な不動産会社を無料で紹介してくれるため、安心して売却手続きをお任せできます。初めての不動産売却でもしっかりとサポートいたしますので、まずはお問い合わせください。

【まとめ】状況に応じて不動産鑑定と不動産査定を使い分けよう

不動産売却のことでお悩みなら

この記事を書いた人

グーホーム編集部

グーホーム編集部

これからの不動産の価値を伝えるため、沖縄を駆け回るグーホーム編集部。
不動産の専門家や沖縄に精通する皆様に支えられ、執筆を楽しんで行っています。
不動産の資産価値を調べる際に参考にしてください!

株式会社プロトソリューション

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