リノベーションで空きビル・空き店舗のビル再生
2024.03
目次
那覇市の社会課題『空き家と空き店舗』
近年『空き家・空き店舗』が増えていることをご存じでしょうか?
本不動産情報サイトの「店舗・事務所」で検索すると、那覇市で500件以上がヒットします。普段はあまり気が付かないですが、那覇市でも『空き家・空き物件』が意外に多くあります。
要因は幾つか考えられます。例えば
① 地価&不動産家賃の上昇
② 事業の担い手不足
③ 事業の採算が厳しい
① の『地価&不動産家賃の上昇』について。
住まいインデックス社の調べによると那覇市の賃貸料金は、ここ10年で30%近く上昇してます。
また、2023年の沖縄の基準地価上昇は全国平均1.0%に対して、4.9%と全国1位の伸び率になっています。
このことから、地価・家賃上昇によって立ち退きにあってしまうテナントさんが少なからずあるのではないかと推測します。
ビル再生で街を元気にするリノベーションのチカラ
空き店舗が増えるとサービスの選択肢が減って、街やビルに訪れる客足がますます少なくなりエリアが閑散としてしまう。
商店街が廃れてしまうのも、これと同じ負のスパイラルではないかと思います。
商店や飲食店・レストランは、その街の賑わいの源泉であり、街の個性や文化を形作ってきました。空き店舗の増加は文化衰退にも直結する重要な問題です。
空きテナントを店舗で埋めてビルに賑わいを取り戻すには、お客さまや人がそこに「訪れたい」と思う『サービスやスポット・アクティビティ』をつくる必要があります。
そこで『リノベーション』の出番です。
用途変更を通じて今までと違うターゲットに向けて、新しいサービスを考えてみるのも1つの手です。
具体的なケースを見ていきましょう。
飲食ビルをリノベーションした事例
例えば、東町の築33年の飲食ビルの事例です。
一時はスナックや居酒屋で賑わっていましたがコロナのダメージもあって、直近では全体の部屋の50%近くが空きテナントになっていました。
2023年から『1棟リノベーションプロジェクト』がスタートしました。
ここでリノベーションのポイントを1つ1つ見ていきましょう。
6階のコワーキングスペースと共同トイレ
6階フロアは、もともと3室があり、壁を取り払って1つの大きなコワーキングスペースに。
空港からのアクセスの良さを強みとして、県外からワーケーションで沖縄を訪れるパラレルワーカーが足を運ぶ需要があるのではないかと分析し、新しい活用提案を考えました。
5階は1室を潰して共同トイレに。
収益を考えるともったいない気もしますが、ビル全体の活用性や価値を上げるという視点では、時に将来的な使い方を想起して部分最適ではなく全体最適の視点が必要です。
この共同トイレがなければ、コワーキング施設でイベントが開かれた際に、多くの人が休憩時間に同時にトイレを利用できないという問題が発生するため、不可欠な機能です。
5階のカフェ&ドーナツ
同じく5階には『カフェ&ドーナツ屋さん』が入居して朝から営業を開始しています。
夜間しか人が訪れなかったビルに朝と昼の顔ができ、早い時間から周辺の専門学校生やビジネスマンたちがドーナツを買いに訪れます。SNSなどのプロモーションにも力を入れているので、県外からの修学旅行生がインスタでこのお店の情報を見つけて足を運ぶこともあるそうです。
1階の正面玄関に屋台を設けることで、5階に行かなくてもドーナツを買うことができる工夫も。このワゴンにドーナツの販売員が常駐しているので、通りを行き交う人々と挨拶を交わすスポットになりました。
屋上スカイデッキ
室外機置場だった屋上は配管の形状を活かしてウッドデッキとすることで、那覇の景色を一望できるスカイテラスに。
コワーキングの利用者がリラックスできるスペースしても活用でき、ここでもビル全体の付加価値を高める工夫がなされています。
屋上で貯水タンクを囲う塀にもうけたアート『Have a good day(良い1日を)』が街ゆく人々に高い場所から語りかけてくれます。
メインエントランス&ポイントアート
雑居ビルの暗いイメージだった表情を変えるためにエントランスをお化粧直し。
古いビルのロゴを外して、コンセプトカラーの「ライトモスグリーンとモルテックス」の素材でおしゃれなビルに様変わり。
軒天もすすけた金属板から木目調にすることで明るく温かいファサードになりました。
乱立していたスナックの看板やシートは一度全て撤去した上で、テナントのロゴを柱にコンパクトにまとめた結果、Theスナックの雑居ビルの印象を解消しました。
いたるところに飾られたアートも見どころです。
入り口にはドーナツを買ってそのまま食べることができるベンチを設置。
背景にはビルのコンセプトを模したアートがペイントされています。
通りに面した窓には、元々スナックとして遮光シートが貼ってあった場所をうまく活用し、ここにもアートを貼って賑やかな雰囲気を出しています。花壇沿いにベンチを添えることで、このビルを訪れた人が記念撮影したくなるような工夫も。
まとめ
いかがでしたか?
リノベーションとちょっとしたアートの工夫で寂れたビルが街のシンボルに様変わりしています。
リノベーションは室内の機能改善のみならず、社会課題のソリューションにもなるポテンシャルがあります。
これからも、多くの空き家・空きビルが再生され、そこから街が明るく元気になってく取り組みが広がっていくことを期待しています!
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