木造住宅を高値で売却する方法や減価償却の仕組み|不動産の価値×売却コンテンツ

木造住宅を高値で売却する方法や減価償却の仕組み

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2024.04.19

木造住宅を高値で売却する方法や減価償却の仕組み|不動産の価値×売却コンテンツ
出典:写真AC

木造住宅は、築年数が経過すると劣化しやすいという特徴があります。そのため、木造住宅を少しでも高値で売却するには、法定耐用年数による資産価値の低下に注意しておく必要があります。また、売却計画を立てていくにあたって減価償却への理解も欠かせません。

今回は、木造住宅を高値で売るための有効な方法や減価償却の仕組み、売却時の注意点についてわかりやすく解説していきます。

目次

木造住宅を売却するなら資産価値の低下に注意しよう!

木造住宅などの建物は、まだまだ住まいとして住み続けることができる状態でも、法定耐用年数の経過とともに資産価値が減少していきます。まずは、法定耐用年数の概要や20年以上が経過していても売却できるのかについてご説明します。

木造住宅を売却するなら資産価値の低下に注意しよう!
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木造住宅の法定耐用年数は22年

法定耐用年数とは、木造住宅を一般的な用途や用法に沿って使用した場合に、期待している本来の価値・役割を果たすとみなされる期間のことです。木造住宅の耐用年数は、所得税法の「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」によって22年と定められています。

法定耐用年数は、建物の構造ごとで次のように決まっています。

  • 鉄筋コンクリート造:47年
  • レンガ造、石造、ブロック造:38年
  • 金属造(厚さ4mm以上):34年
  • 軽量鉄骨プレハブ造(厚さ3~4mm):27年
  • 木造:22年
  • 木造モルタル造:20年
  • 軽量鉄骨プレハブ造(厚さ3mm以下):19年

このように見比べてみると、木造住宅は金属造や鉄筋コンクリート造よりも法定耐用年数が短いことがわかります。

ですが、木造住宅でも建築から22年が経過しても壊れた部分を少しずつ修繕・定期メンテナンスしていけば、そのまま住み続けることができるので、居住している最中は、法定耐用年数について気にすることはほとんどないでしょう。実際にメンテナンスをしっかりと行っていれば、木造住宅でも100年以上が経過しているものもあります。

22年経過後の資産価値

木造住宅は法定耐用年数とされている22年が経過すると、不動産としての資産価値の大部分を失ってしまいます。参考として、国土交通省が木造の中古戸建住宅の査定価格について、次のようなデータを公開しています。

このように木造戸建住宅は築年数が22年を超えたあたりから不動産としての資産価値が約10%となり、それ以降は横ばいとなっています。

法定耐用年数が経過した後でも売却できる

法定耐用年数の22年を超え、資産価値をほとんど失った木造住宅でも、絶対に売れないというわけではありません。たとえば、リノベーションによってデザイン性に優れた住まいに改良したり、現代的なスタイルに合わせて住環境の内外装や間取りを変更することで不動産に対して付加価値をつけられます。

また、リフォームによって破れが目立つ壁紙の貼り替えやお風呂場の入れ替えなどをすることで、売却できる可能性を高められます。あまりにも築年数が経過しており、リノベーションやリフォームが難しければ、古家付きの土地として売却する方法も有効です。

法定耐用年数の22年を超えており経年劣化が進んでいても売ることを諦めずに、売却の仕方を工夫することが大切です。

木造住宅の売却で知っておきたい減価償却の仕組み

木造住宅を売却する際は、減価償却についての税務上の理解が欠かせません。次に、木造住宅の減価償却の仕組みや具体的な計算方法についてご説明します。

木造住宅の売却で知っておきたい減価償却の仕組み
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減価償却とは?

木造住宅の減価償却は、その建物が経年劣化によって資産価値が減少することを考慮して、その価値を経費として計上する会計処理のことです。通常、減価償却は法定耐用年数に基づいて行われます。

土地には築年数の経過による劣化はありませんが、木造住宅には時間の経過にともなう資産価値の減少があります。減価償却をすれば税務上の利益額を抑えられるため、課税額の負担が少なくなります。

不動産売却時に発生する譲渡所得

不動産売却では、譲渡所得に対して税金が発生することがあります。この税金は、土地や建物などの不動産を譲渡(売却)することによって得られた利益に対して課される税金で譲渡所得税と呼ばれています。

そのため、不動産の譲渡収入金額から取得費や減価償却費、譲渡費用を差し引いて利益が発生する場合に譲渡所得税が課せられます。取得費とは不動産購入時に発生した費用のことで、譲渡所得税の計算時に売却代金から差し引くことができます。

しかし、すべてが取得費に該当するわけではありません。取得費として認められる代表的なものは、次のとおりです。

  • 建物や土地の購入代金
  • 購入時に発生した仲介手数料
  • 建物の建築費用
  • 設備費
  • 土地改良費
  • 測量費
  • 不動産取得税や登録免許税、印紙代などの税金
  • 埋め立て費用
  • 借入開始日から使用開始日までの住宅ローンの利子や手数料

一方で取得費として認められないものは、次のとおりです。

  • 修繕費
  • ハウスクリーニング費用
  • 住宅ローン保証料
  • 使用開始日以降の団体信用生命保険料
  • 使用開始日以降の住宅ローン金利
  • 火災保険料
  • インターネットの契約料
  • 管理費
  • 修繕積立金
  • 引っ越し費用
  • 家具の購入費用
  • 家電製品の購入費用
  • 町内会費

あくまでも取得費とは建物の取得に必要となった費用を意味します。そのため、取得後に発生した費用や建物取得とは関係のない費用は取得費として認められないため注意が必要です。

土地や建物の取得費を計算する場合は、土地と建物で分けて計算する必要があります。土地は購入代金をすべて取得費にできますが、時間の経過とともに資産価値が減少していく建物については購入代金から減価償却費を差し引く必要があります。

もし、中古中宅を買って増改築やリノベーションを実施した場合には、そのために必要となった費用も減価償却費を差し引いて計算します。この減価償却費について正しく理解しておかないと、「税金が発生しないと思っていたのに、実は支払いの必要があった」ということになりかねません。

減価償却費の計算方法

木造住宅の減価償却費の計算公式は、次のとおりです。

減価償却費=取得価格×0.9×償却率×経過年数

こちらの事例を参考に、計算してみましょう。

【事例】20年前に購入した新築木造一戸建て

購入費用:3000万円(土地:1000万円 / 建物:2000万円)

2500万円で売却できた場合

売却代金から取得費を差し引くと、以下のようになります。

2500万円(売却代金)-3000万円(取得費)=-500万円

このように見ると「税金が発生しないので確定申告の必要もないのでは?」と多くの方が勘違いしてしまうポイントとなっています。正しくは、3000万円のうち建物分は2000万円なので、この建物分の2000万円に対して減価償却を考えていく必要があります。

法定耐用年数にはマイホームや相続した実家などの居住用と事業用に提供している業務用の2種類があります。例として、居住用の木造住宅の法定耐用年数が33年、償却率が0.031であることを考慮して、減価償却費を求める計算式にあてはめてみます。

2000万円×0.9×0.031×20年=1116万円

次のように建物代から減価償却費を差し引くと建物の取得費がわかります。

2000万円(建物代)-1116万円(減価償却費)=884万円(建物の取得費)

建物に関する取得費に土地の取得費1000万円を合わせると取得費の合計は1884万円となります。

884万円(建物の取得費)+1000万円(土地の取得費)=1884万円(取得費合計)

譲渡所得の計算方法

上記手順で取得費の計算が終わったら譲渡所得についても計算していきましょう。譲渡所得の具体的な計算公式は次のとおりです。

譲渡所得=売却代金–取得費

以下の例を用いて、計算してみましょう。

  • 売却代金:2500万円
  • 取得費:1884万円

2500万円(売却代金)-1884万円(取得費)=616万円(譲渡所得)

上記の計算により、616万円が譲渡所得となります。この場合、譲渡所得に対して20%の税率が課されるため、123万円2千円が税金として発生します。

616万円(譲渡所得)×20%(税率)=123万円2千円(税金の支払総額)

このように、税金が全く発生しないと思っていたにもかかわらず、しっかりと計算すると123万円2千円もの支払いが発生するという結果になりました。この例を踏まえ、木造住宅を売る際は、売却後の税金計算の仕方を間違えないようにしましょう。

木造住宅の売却時の注意点

木造住宅を売る際は、注意点を知らずに売却アプローチを開始すると想定外のトラブルが発生することがあります。次に、木造住宅売却時の注意点についてご説明します。

木造住宅の売却時の注意点
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建物に瑕疵がある場合は正しく伝える

瑕疵とは、木造住宅に本来備わっているはずの性能や機能を欠いている状態のことです。売却予定の木造住宅に瑕疵が見つかった場合は、買主や仲介先の不動産会社にその状態を正しく伝えましょう。木造住宅の瑕疵としては、具体的には次のようなものがあります。

  • 屋根の劣化による雨漏り
  • 壁のひび割れ
  • 配管の水漏れ
  • 小屋裏の金物の未取付け
  • 地盤沈下による傾き
  • 建物を支える土台の劣化

これらの瑕疵について売買契約書に記載がなく契約後に見つかった場合、契約不適合責任に問われる可能性があります。契約不適合責任に問われれば、買主から売主に対して損害賠償を請求されることがあるため注意が必要です。

住宅ローンがある場合はすべて返済する

中古の木造住宅を売却する場合は、抵当権を抹消するために住宅ローンをすべて返済しておきましょう。抵当権は、住宅ローンをすべて返済したからといって自動的に抹消されるわけではなく、抹消には抵当権抹消登記が必要です。不動産の抵当権抹消手続きの流れについては、下記を参考にしてください。

もし、住宅ローンをすべて返済することが難しい場合は、一般的に不動産の売却代金を返済に充てることになります。売却代金を住宅ローンに充ててもすべて返済できなければ、預貯金を利用するか、住宅ローンの借り換えや任意売却で完済を目指します。

リフォームについて検討する

お住まいになられている木造住宅の状態によっては、売却前にリフォームすることで資産価値が上がることがあります。そのため、リフォームの仕方によっては高値での売却が期待できますが、一方で築年数が古い場合は修繕箇所が多すぎてリフォーム費用が非常に高くなってしまう傾向があります。

古い木造住宅を綺麗にリフォームできたからといって、リフォーム費用を売却代金で必ず回収できるとは限りません。たとえば、買主がシンプルで現代的な内装を好んでいるのに、高齢者向けのバリアフリーな空間へリフォームしてしまった場合、買主との好みが合わず売却が難しくなります。

売却前に木造住宅をリフォームすべきかについては、不動産会社に相談してみましょう。部屋の状況や築年数に応じて、リフォームすることで売却額が上がるのか具体的なアドバイスをしてくれるでしょう。

木造住宅を高値で売却したいなら築年数で方法を変えよう!

木造住宅は、築年数によって売却方法を変更すると高値で売りやすくなります。次に、木造住宅の売却方法について有効な方法をご説明します。

木造住宅を高値で売却したいなら築年数で方法を変えよう!
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築20年以内なら不動産仲介で売却する

築20年以内で、ある程度の資産価値のある木造住宅であれば、最も高値で売却できる「不動産仲介」をおすすめします。不動産仲介とは、不動産会社が売主と買主の間に立って不動産の売買契約を成立させるための手続きや契約を行うことをいいます。不動産会社に不動産仲介を依頼すると、次のことを行ってくれます。

  • 物件の査定や売却に関する情報収集
  • 物件の広告や宣伝
  • 内覧の調整や同行
  • 契約条件の調整
  • 契約書類の作成
  • 重要事項の説明
  • 契約の締結
  • 物件の引き渡し手続き

不動産仲介は、不動産取引の専門家である不動産会社が行うのが一般的です。不動産会社は、不動産に関する知識や経験、ネットワークを有効に利用し、売主と買主の双方にとって納得のいく取引を成立させます。

また、市場に売りだす際の売り出し価格が分からなくても、不動産会社が資産価値を査定してくれるため、不動産売却のプロと相談しながらだれでも簡単に適正価格を算出できます。その売り出し価格で買主が見つかった場合は、希望価格での高値売却が実現します。

一方で買主が見つからず希望金額での売却が難しい場合は、売り出し価格を相場よりも下げる可能性があります。そのため、不動産仲介は築年数が浅く立地が好条件の木造住宅の売却を考えている方におすすめの方法です。

築20年を超えてからは不動産買取で売却する

法定耐用年数に近い築20年を超えてくると、木造住宅の買主はなかなか見つからない可能性が高くなります。不動産仲介での売却が難しい場合は、不動産買取の利用を検討するのも有効な選択肢のひとつです。

不動産買取とは、不動産会社が直接不動産を買い取るサービスのことです。不動産会社に木造住宅の買取査定を依頼すると買取可能な金額が売主に提示されます。提示された買取金額に納得できれば、売主はすぐに不動産を売却できます。

また、不動産仲介の場合は売却までに約3ヵ月の期間を要しますが、買取なら最短1週間で売買契約を締結でき、約1ヵ月で決済手続きを済ませられます。

不動産買取における不動産会社は、木造住宅を買い取って修繕工事やリフォームを行います。買取後、再生させた不動産を再度販売するため、売主に支払われる買取金額は仲介の約8割となってしまう点に注意しましょう。不動産買取業者の正しい選び方や仲介との違いについては、下記を参考にしてください。

築22年を超えたら土地として売却する

法定耐用年数の築22年が経過してしまった木造住宅は、住まいとしての資産価値の多くを失っているため、なかなか買主は見つからないでしょう。もし、木造住宅の劣化が激しい場合は、更地にして土地として売却する方法も有効な選択肢のひとつです。

土地として売却する方法なら、「新築物件を建てるために土地がほしい」や「土地を事業に有効利用したい」といった土地購入を考えている買主に対して有効にアプローチできます。エリアによっては土地に一定の需要があるため、不動産仲介による高値での売却も実現可能です。

しかし、買主の中には木造の古民家を買って、リノベーションをしたいという方もいます。状況によっては更地による土地売却が正解とはいえないため、一度不動産会社に相談して決めることをおすすめします。

古家付きの土地として売却する

法定耐用年数が過ぎて劣化が激しい木造住宅の場合は、古家付きの土地として売却するのも有効な選択肢のひとつです。古家付きの土地とは、古い家屋が建っている状態の土地のことです。古家付き土地の取引においては、取引対象となるのは土地であって家屋の価値は評価されません。一方、土地付き既存住宅の取引においては、家屋も評価され取引の対象となります。

古家付きの土地は、すぐに住むことができる住まい付きの土地を探している方や土地を買いたいという方をターゲットにできるため、比較的簡単に買主が見つかります。また、更地よりも土地の価格が安いため、投資用物件として購入されるケースもあります。

他にも、土地だけの購入なら住宅ローン審査に通りづらくても、古家付きの土地なら審査を通過しやすいです。そのため、住宅ローンの利用を検討している買主に買ってもらいやすいというのも特徴のひとつです。

【まとめ】木造住宅の売却計画について不動産会社に相談しよう

木造住宅の不動産売却は、築年数や物件の状況に合わせて正しい売り方を選ぶことが大切です。しかし、木造住宅を高値で売却するには不動産売買についての専門的な知識が必要であるため、まずは不動産会社に相談してみることをおすすめします。

不動産査定で木造住宅の建物や土地の具体的な資産価値が明確になれば、売却計画や資産計画について考えやすくなります。もし、木造住宅の売却計画について相談先をお探しならグーホームの一括査定の利用がおすすめです。グーホームの一括査定ではオペレーターが売主の要望に合わせて木造住宅の売却経験の豊富な不動産会社を紹介しています。

減価償却や譲渡所得の計算について安心して任せられる不動産会社を紹介してもらえるので、ぜひ一度お問い合わせください。

【まとめ】木造住宅の売却計画について不動産会社に相談しよう

不動産売却のことでお悩みなら

この記事を書いた人

グーホーム編集部

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これからの不動産の価値を伝えるため、沖縄を駆け回るグーホーム編集部。
不動産の専門家や沖縄に精通する皆様に支えられ、執筆を楽しんで行っています。
不動産の資産価値を調べる際に参考にしてください!

株式会社プロトソリューション

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