賃貸物件の「管理費」と
「共益費」ってどんなもの?
2019年8月号掲載
賃貸物件を探していると、家賃のほかに「管理費」「共益費」といった項目を目にします。管理費、共益費とは一体何に使われる費用なのか、これら費用が必要な物件とそうでない物件との違いはどういった点にあるのかご存知でしょうか?
今回の知恵袋では、賃貸物件における管理費や共益費の意味について解説します。
賃貸物件の管理費や共益費とは
管理費、共益費とは、マンションやアパートといった賃貸物件の共有部分の維持管理費のことです。賃貸契約を結んで部屋を借りた場合、入居する部屋だけでなく玄関や廊下といった共有部分をきれいで快適な状態にするために、管理費や共益費が使われているのです。
中には、管理費や共益費が設定されていない物件もあります。こういった物件は、家賃の中に管理費や共益費が含まれています。
管理費や共益費の具体的な用途
管理費や共益費は、物件の玄関や入り口通路、廊下やゴミ捨て場、エレベーターといったさまざまな共有部分を維持・管理するための費用です。
ほかにも、玄関オートロックや監視カメラ、屋上の浄化槽の清掃費や点検費、ケーブルテレビやインターネット回線の使用料などが管理費や共益費から支払われる物件もあります。
管理費と共益費の違い
不動産公正取引協議会が定める「不動産の表示に関する公正競争規約施行規則」には、管理費と共益費について次のように書かれています。
共益費
借家人が共用して使う設備や施設の運営や維持をするための必要な費用のこと。
管理費
マンションの事務を処理し、設備や共用部分の維持や管理をするための費用のこと。共用部分の公租公課を含み、修繕積立金を含まない。
管理費は共用部分の固定資産税や、マンションの管理人を雇うための費用といえます。共益費は共用部分の電気代のほか、清掃や蛍光灯の交換などに使われると考えれば分かりやすいでしょう。
実際のところ、管理費と共益費の考え方には大きな違いはありません。どちらも「物件の共用部分の維持費を入居者全員で負担している」ということになります。
管理費や共益費が家賃とは別に表示されている理由
例えば「家賃5万円、管理費なし」という物件と「家賃4.5万円、管理費5000円」という物件では、後者のほうがお得に感じられるもの。物件検索のときにも、家賃の額が低ければ低価格帯の物件を探すとき、検索にヒットしやすくなります。
物件を借りる側にとっても、家賃が安ければ敷金や礼金の金額を抑えることができるメリットがあります。つまり、管理費や共益費が設定されている物件を選べば初期費用を節約することもできるのです。
賃貸物件の管理費や共益費は、共用部分の維持管理のために使われています。管理費や共益費の記載がない物件は、家賃にこれらが含まれていると考えましょう。賃貸物件を契約するときには、家賃の額だけでなく管理費や共益費の額が適切かどうかという点にも注目して、最適な物件を選びたいですね。